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2008年04月23日(Wed)
< 散髪 < | エッセイ/一覧 | 頭寒足熱 > お母さんへ
青春

 僕は青年が 帰っていく後ろ姿を見て、何十年も前の自分の姿を重ねた。自分の後ろ姿は見ることは出来ないが、恐らく肩を落とし、少しうつむき加減で歩幅も狭かったと思う。胸を張って大股で闊歩する自信に溢れた姿など想像できない。青春時代、何か希望を持って取り組んだことがあるだろうか。価値あるものを追い求めたことがあるだろうか。腐敗した享楽と刹那に交差し、退廃の吐息を繁華街の朝の嘔吐のように、蒸散させていただけではないのだろうか。
 余程才能に恵まれた人以外に、希望に胸をふくらませて生活出来るなんてことは滅多にない。今思い返してもその様な日々が果たしてあったのかどうかも疑わしい。深い失望も味わっていないのだから、何となく1日が過ぎて、何となく朝が来る、その繰り返しだったのだろう。青年時代は、することもなく、目標もなく、いわば「精神のその日暮らし」だったのだろう。別に精神の出稼ぎをするわけではなく、寧ろパチンコ屋の喧騒の中に捨てていた。
 多くを望まなければ落ち込むこともない。期待しなければ裏切られることもない。ただ傷つかないように、傷つけないように、信号機の色が変わるのを待っていればいい。そうすれば行き先のないバスが停留所に着き、無賃乗車の客をひろって喪失がどよめく繁華街に落としてくれるだろう。青春とは終点にたどり着けない捨てられた切符だ。